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国家試験合格対策ドリル(2019〜2020)Vol.1 国試の準備は春休みから

国家試験合格対策ドリル(2019〜2020)第1回

第108回の出題から学びたいこと

あえて、国試対策本で説明されていない項目を選んで出題が行われた可能性があります。
⇒ 教科書に立ち戻って、知識を補うようにします。
割と基礎医学を重視したものが多く出題されました。
⇒ 今回は、解剖生理学や病態生理学の知識が役立ったと思われます。これらの知識で基礎を固めておきましょう。
今回、見慣れない項目が多く出題されました。
⇒ 必ずしも、そのような項目を知っていなくても、「消去法」を使って正答を導くことができる問題になっています。4選択肢のうち、3選択肢が確実であればよいのです。

【例題1】 第108回午前2(必修)

日本における平成28年(2016年)の部位別にみた悪性新生物の死亡数で、男性で最も多い部位はどれか。
1. 胃
2. 肝及び肝内胆管
3. 気管、気管支及び肺
4. 結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸

【正答】 3

これは、知識としては、「肺癌」ということで記憶していることでしょう。

しかしながら、あえて、統計そのままに、「気管、気管支及び肺」という選択肢になっています。これまでは、ストレートに「肺癌」だったものが、バリエーションをつけて分かりにくくしているものと思われます。

ちなみに、肺癌が男性で最も多いのは喫煙によるものと考えられます。

【例題2】 第108回午後14(必修)

浮腫の原因となるのはどれか。
1. 膠質浸透圧の上昇
2. リンパ還流の不全
3. 毛細血管内圧の低下
4. 毛細血管浸透性の低下

【正答】 2

「浮腫」ということから、血管系のものを考えてしまうことが多いでしょう。そうすると、アルブミンが減少することなどで起こる「膠質浸透圧の低下」に意識が行き、その選択肢がなくて困惑するということになります。

浮腫には、2種類あり、血管系のものとリンパ管系のものがあります。ここでは、リンパ管系の方の浮腫を指しています。「リンパ浮腫」といってくれれば分かるのに、ということになりますが、これが現在の国試の出題のやり方です。なお、午前の方の選択肢に「リンパ浮腫」がありますので、落ち着いていれば、大丈夫であったはずです。

リンパ浮腫は、過剰なリンパ液がリンパ管の外で回収されずに貯留してしまい、結果として、身体が膨れた状態になることです。軽度であれば、医療徒手リンパドレナージ(いわゆるリンパマッサージ)が施され、ゆっくりとしたやわらかいマッサージ法で、皮膚や皮下組織にたまったリンパ液を正常なリンパ節へ誘導するようにドレナージを行います。

【例題3】 第108回午後2(必修)

平成28年(2016年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。
1. 糖尿病
2. 腰痛症
3. 高血圧症
4. 眼の病気

【正答】 3

看護師国家試験では、解答に困る問題や、やっかいな問題も出題されることがあります。

今回、余り出てほしくない問題が大胆に出題されました。第104回でも、ほぼ同じ問題が出題されましたので、プール問題なのかと思われます。

通院者率は、国民生活基礎調査(基本的に毎年調査)の大規模調査(3年ごとに行われる)として調べられ、調査日が設定されますが、その日に通院していなくても、通院治療が継続している人はカウントされます。

一方、これとよく似た外来受療率は、3年に1度実施される患者調査で、特定の調査日に外来受療した人がカウントされます。外来受療率は、調査日の1日だけで受療が済むような傷病も含まれます。「消化器系の疾患」が一番多いのですが、これには歯科診療も含まれます。

通院者率では、高血圧症が一番多く、治療の継続が必要な疾患が傷病として多くなります。

看護師国家試験では、国民生活基礎調査の大規模調査(出題年度の平成28年はそれに該当)と、国民健康・栄養調査が好んで出題されますので、興味をもって、すみずみまで読んでおく必要があります。

【例題4】 第108回午前100(改変)

Aさん(89歳、女性)は、腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。Hb 6.9 g/dL。
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ

1. 貧血
2. 腹水貯留
3. 肝機能低下
4. 低酸素血症
5. 低カリウム血症

【正答】 1、2

腹部膨満感とふらつきを自覚した高齢患者で、転倒要因の1つはHb値が低いことから、貧血ということになります。

もう1つは腹水貯留で、それについては、この看護師は、腹水貯留->利尿薬->頻尿->夜間トイレ->転倒、という推論を行っているものと思われます。

【例題5】 第108回午前55

Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。
検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。

1. 検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。
2. 検査前に前立腺肥大症の既往の有無を確認する。
3. 検査中は仰臥位の姿勢を保持する。
4. 検査後はすぐに食事ができることを説明する。

【正答】 2

胃内視鏡検査では、検査前に前立腺肥大症の既往の有無を確認するようにします。これは、胃内視鏡検査で、抗コリン薬であるブスコパン(R)(ブチルスコポラミン臭化物)を鎮痙薬(胃・十二指腸が蠕動していると観察が不十分になってしまいます)として使用するためですが、緑内障、心疾患(不整脈、狭心症、心筋梗塞など)、前立腺肥大症では、この薬剤は使用禁忌です。

今後注目すべき項目

第107回以降、疾患と、臨床上関係する特徴的な基本事項の組み合わせを問う出題が目立ちます。病態関連図などで、きちんとフォローする必要があります。

・川崎病
・・・冠状動脈瘤の合併症
・慢性副鼻腔炎の手術
・・・複視
・腸重積症
・・・イチゴゼリー様便

看護技術の出題が増えてきています。現場の実際的な知識のなかで、根拠とともに憶え、身につけていくことが望まれます。心電図検査の肢誘導と胸部誘導、人工呼吸器のアラームなどが出題されています。

今後注目しておきたい事項として、セカンドオピニオンについての詳しい知識、国連の持続可能な開発目標、フレイル、健康寿命が出題されています。

先輩たちから情報を集めよう

春休みは、こうして、先輩たちの体験を聴き出すことができる絶好のチャンスです。先輩たちからの情報収集に励みましょう。どのように教科書に取り組んだか、どこの予備校の講座がよかったか、模擬試験をどのように活用したか、などの情報が特に大事です。うまくいった体験よりは、うまくいかなかった体験を参考にさせていただくと、失敗を回避することができます。


蜂谷正博 メビウス教育研究所 塾長
蜂谷 正博
メビウス教育研究所 塾長

日本赤十字看護大学をはじめ全国の看護学部、看護専門学校、薬学部で看護師・保健師・薬剤師国家試験対策講座を担当。著書に『必修ラ・スパ』など。元東京大学大学院医学系研究科客員研究員。

メビウス教育研究所:http://www.mebius-ed.co.jp/

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