国家試験合格対策ドリルVol.4 患者さんに説明する自分を想像して勉強を進めよう

皆さんの中には、基礎を問う出題が増えたとしても、その基礎事項をなかなか定着させることができない、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、厳しい言い方かもしれませんが、看護系の学校を目指そうと決心したときの気持ち、つまり初心に立ち戻って、国試と向き合っていただければと思います。国試の勉強を、たんなる受験勉強にせず、看護職に必要な知識を身につける機会ととらえ、知識が増えることを楽しんでいきましょう。

患者さんへの適切な言動や対応をふまえた上で説明できるようにしましょう

国試の究極的な勉強法は、勉強している事柄について、あたかも自分が患者さんを目の前にして説明しているかのようなイメージを思い描いて、まとめておくことです。いずれ皆さんは、患者さんとたえず向き合っていくことになります。その場合の真剣さを、勉強のときから意識しておくことも必要です。説明できる能力は、改定出題基準でも、明示はされていませんが、求められていると言えます。

第104回では、看護師の言動や対応についての出題がますます多くなっています。

第104回午後59

Aさん(70歳、女性)は、夫のBさんと死別し、軽費老人ホームに入居している。Aさんは「今、再婚をしたいと思う好きな人ができたのに、70歳で再婚なんて恥ずかしいよと息子に叱られました。とても悲しいです」と話した。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 1.「息子さんの気持ちは理解できます」
 2.「他の職員の考えを聞いてみましょう」
 3.「好きな人ができることは素敵なことですね」
 4.「亡くなったBさんのことは忘れてしまったのですか」

【正解】 3

前向きで、傾聴・共感的なかかわりが大切となります。

疾患や術式・治療法の勉強では、根拠を解剖生理学に求める

学んだことは、そのままでは身につきません。臨床の場では、実際に、どうなっているかを見聞しましょう。それが実習の本来の意味です。改定出題基準では、比較的新しい術式・治療法も取り上げられるようになっていますので、この実習の時期に、それらを現場で確認してみてください。「学んで時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや」という言葉が『論語』にあります。学んだことを、折にふれて繰り返し学習することによって身につけてゆくのはなんと楽しいことではないか、ということです。学んだ知識を臨床の場で確実なものにしていきましょう。

第104回では、医療器具の取扱いに関する出題が目立って増えていて、特に、必修問題で看護技術の問題の割合が多くなっていることに注意が必要です。酸素流量計、除細動器、輸液ポンプ、経鼻経管栄養法のカテーテルの長さ、針の刺入角度、体位ドレナージ等が出題されています。なお、医療器具については、国試対策本に記載のない項目が出題されたりしており、現場で見聞することが大切です。このような傾向は、医療現場で必要な知識を重視する改定出題基準に即するものです。

第104回午後24(必修)

2015_kokushi_04_01医療用酸素ボンベと酸素流量計とを図に示す。
酸素の流量を調節するのはどれか。

 1.①
 2.②
 3.③
 4.④

【正解】 3

①は医療用酸素ボンベ開閉栓(元栓)のハンドル。
②は、浮子(うき)の高さで流量をみる酸素流量計です。
③は流量調整ハンドル。この下に加湿瓶を取り付けます。
なお、③と④の間にあるのは安全弁(圧力調整器)、その上に付いているのは高圧側圧力計です。
④は圧力調整器に付いている接続用のナット。

第104回午前58

手指の巧緻性が低下している高齢者が操作しやすい補聴器の種類はどれか。
 1.骨導補聴器
 2.耳あな型補聴器
 3.耳かけ型補聴器
 4.ポケット型補聴器

【正解】 4

・骨導メガネ型補聴器
メガネのツルを利用し、振動で皮膚から音を伝える骨導式です。伝音性難聴および混合性難聴の方が対象です。高齢者の感音性難聴には適応となりません。
・耳あな形補聴器
耳あなの形状と聞こえの程度に合わせてつくるオーダーメイドタイプが一般的で、現在、主流となっています。
・耳かけ形補聴器
・ポケット形補聴器
補聴器としては最初に作られた形で、小型ラジオのようなスタイルです。本体をポケットに入れ、イヤホンとコードをつないで使用します。スイッチやボリュームの操作部分が大きく、手元で見ながら操作できるので、操作しやすいとされています。また、補聴器本体にもマイクがついているので、本体を聞きたい音に近づけることができます。寝ている姿勢などでも、本体を置く位置によって音の集音方向が決められます。

また、学習方法の工夫も大事です。基礎となる解剖生理学から病態生理学や看護技術へとリンクさせることを第2回で取り上げましたが、疾患や術式・治療法を勉強しているときは、逆に、その根拠を解剖生理学などに求めてみましょう。もちろん難しいですから、一部で構いません。このような工夫をすれば、学習が立体的になります。


蜂谷正博 メビウス教育研究所 塾長
蜂谷 正博
メビウス教育研究所 塾長

日本赤十字看護大学をはじめ全国の看護学部、看護専門学校、薬学部で看護師・保健師・薬剤師国家試験対策講座を担当。著書に『必修ラ・スパ』『使える!第101回・第100回看護師国家試験解説』などがある。元東京大学大学院医学系研究科客員研究員。

メビウス教育研究所:http://www.mebius-ed.co.jp/

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