国家試験合格対策ドリルVol.1 国試の準備は春休みから

過去問をおさえた上で、それを展開しよう

第103回の国試では、過去問と類似していても、それをもう一歩深めた出題がなされているものが目立ちました。

そのような問題をみておきましょう。

【例題1】 (第96回午前56を改変)

気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
 1. 血 圧
 2. 体 温
 3. 血 糖
 4. 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉

[正解] 4

 第99回午前24に「気管吸引の時間が長いと生じやすいのはどれか。」という問題が出ています(正解:低酸素)。
 気管内吸引は、分泌物とともに酸素も吸引しますから、吸引時間が長いと、低酸素血症が生じます。
 例題1では、それを一歩深めて、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉の低下を答えさせています。

[例題2] 第103回午前24

左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
 1. 冠状動脈
 2. 下大静脈
 3. 肺動脈
 4. 肺静脈
 5. 大動脈

[正解] 5

 第100回午後10に「全身に動脈血を送り出すのはどれか。」という問題が出ています(正解:左心室)。
 例題2では、左心室に続く大動脈を答えさせています。
 ちなみに、冠状動脈は、心筋そのものに栄養を運びます。

[例題3] 第103回午後31

降圧利尿薬により血中濃度が低下するのはどれか。
 1. ナトリウム
 2. 中性脂肪
 3. 尿 酸
 4. 血 糖

[正解] 1

 利尿薬は、水分だけが排泄されるのではありません。
 水分はNa+とともに移動します。Na+の再吸収を阻害すれば、その分、水も再吸収されにくくなり、尿量が増えます。これと同時に、K+も排出され、低カリウム血症に注意が必要です。
 高血圧症には、サイアザイド(チアジド)系利尿薬がよく用いられます。

国試のキーワードに着目し、連想される項目とともに憶える

看護師国家試験の対策も進化してきており、国試のキーワードの分析も行われたりしています。そのような情報を入手したり、自分で勉強する中でまとめたりすると、ポイントをおさえた対策をすることができます。

国試のキーワードと連想語を結びつける問題をみておきましょう。

[例題4] 第103回午後8

保健師助産師看護師法で規定されている看護師の業務はどれか。
 1. 看護研究
 2. 記録の保存
 3. 秘密の保持
 4. 関連機関との連携

[正解] 3

 第101回午後4や第100回午後5に類似問題が出題されています。
 保健師助産師看護師法第42条の2に「正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」として、看護師の守秘義務が規定されています。
 連想語の問題というわけではありませんが、「保助看法」で看護師の業務ときたら、「守秘義務」ないし「秘密の保持」が連想されなければなりません。

[例題5] 第101回午前25

スタンダードプリコーションで予防するのはどれか。
 1. 誤 薬
 2. 誤 嚥
 3. 患者誤認
 4. 院内感染
 5. 転倒・転落

[正解] 4

 スタンダードプリコーションは標準的感染予防策と訳され、1996年にCDC(米国疾病管理予防センター)により提唱された概念ですが、イメージがはっきりしていないかもしれません。
 患者と医療従事者の双方における「病院感染」の危険性を減少させることが目的です。汗を除くすべての体液分泌物、患者の血液、排泄物、粘膜、損傷した皮膚を感染源とみなして対処します。
 「院内感染」を連想語としてとらえると、分かりやすくなります。

先輩たちから情報を集めよう

春休みは、こうして、先輩たちの体験を聞くことができる絶好のチャンスです。先輩たちからの情報収集に励みましょう。どのような参考書を使ったか、どこの予備校の講座がよかったか、模擬試験をどのように活用したか、などの情報が特に大事です。うまくいった体験よりは、うまくいかなかった体験を参考にさせていただくと、失敗を回避することができます。


蜂谷正博 メビウス教育研究所 塾長
蜂谷 正博
メビウス教育研究所 塾長

日本赤十字看護大学をはじめ全国の看護学部、看護専門学校、薬学部で看護師・保健師・薬剤師国家試験対策講座を担当。著書に『必修ラ・スパ』『使える!第101回・第100回看護師国家試験解説』などがある。元東京大学大学院医学系研究科客員研究員。

メビウス教育研究所:http://www.mebius-ed.co.jp/

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