国試を突破する戦略的学習法③「続・相手を知る」
戦略的学習法として「彼(相手)を知り、己(自分)を知る」必要性について説明してきました。連載の第1回では、自分の情報収集タイプを知り、それに合った学習法を工夫することの重要性について説明しました。また、第2回は、相手(国家試験)の形、すなわち「4肢1択」「5肢1択」「5肢2択」「大問小問(状況設定問題)」などの出題形式について解説いたしました。
第3回となる今回は、出題内容、とくに時間の取れる夏に集中的に学習すべき「必修問題」の出題分野について理解を深めてもらうよう解説します。
学校でもアナウンスされたと思いますが、看護師国家試験は第98回(2009年実施)から第99回(2010年)にかけて大幅な変更がありました。問題総数は変わらないものの必修問題の小項目総数が212項目から300項目に増えたのです。結果的に必修問題が30問から50問に増え、一般問題はそのぶん20問減りました。必修問題では8割を死守しなければなりませんから、たっぷり時間の割けるこの時期を必修問題対策に費やすことが重要なのです。
過去の必修問題を解いて出題分野をチェック
看護師国家試験の必修問題は、以下のように目標IからIVまでの4レベルから多角的に問われます。
▼ この4レベルは、さらに17の大項目へと細分化されます。
※目標I~目標IVの下位にある大項目
2. 健康と生活
3. 保健医療制度の基本
4. 看護の倫理
5. 関係法規
7. 人間の成長と発達
8. 患者と家族
9. 主な看護活動展開の場と看護の機能
11. 病態と看護
12. 主要疾患と看護
13. 薬物治療に伴う反応
15. 日常生活援助技術
16. 患者の安全・安楽を守る技術
17. 診療に伴う看護技術
さらに、大項目は52の中項目に細かく分かれていきます。そして、その下位にある小項目が第98回国試(2009年)から第99回国試(2010年)にかけて212項目から300項目へと増えたのです。
厚生労働省のアナウンスでは「大項目は中項目を束ねる見出しであり、中項目は看護師国家試験の出題の範囲となる事項であり、小項目は、キーワードとし、中項目に関する内容をわかりやすくするために示した事項である。これは大・中項目に関連して出題されるものとする」と説明されています。8割死守しなければならない必修問題は、この300のキーワードに関する理解を深めることにより、攻略できるのです。もっといえば、300項目の理解は、必修問題対策となるだけでなく、「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」などの一般問題や状況設定問題を解く基礎知識ともなりますので、秋以降の学習を加速するためにも有効です。
ただし、いきなり300項目を暗記するのは無機的ですし、精神衛生的にもよくありません。まず、すでに解いてみた近年の必修問題の過去問が実際にどの小項目からの出題なのか、検証する作業から始めるとよいでしょう。
スペースの都合で一部のみ(大項目1のみ)を示しますが、必修問題の出題範囲の体系は下記のような構造になっているのです。
▼大項目1. 健康に関する指標
※大項目の下位にある中項目と小項目(例)
実際に出題された問題を小項目と照合するとは
例えば、第100回の国家試験必修問題(午前)で検証してみると、以下のようになります。
例1
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)br />
日本における平成20年の合計特殊出生率はどれか。
- [1] 0.37
- [2] 1.37
- [3] 2.37
- [4] 3.37
Answer(解答を見る)
- [1] 0.37
- [2] 1.37
- [3] 2.37
- [4] 3.37
正解:2
<関連小項目(キーワード):出生の動向>
日本の合計特殊出生率は1975年以降2未満になっています。
例2
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
医療保険はどれか。
- [1] 介護保険
- [2] 雇用保険
- [3] 国民健康保険
- [4] 厚生年金保険
Answer(解答を見る)
- [1] 介護保険
- [2] 雇用保険
- [3] 国民健康保険
- [4] 厚生年金保険
正解:3
<関連小項目(キーワード):医療保険の種類>
社会保険の種類は医療保険、年金保健、雇用保険、労災、介護保険があります。
例3
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
インフォームドコンセントの説明で正しいのはどれか。
- [1] 病歴を個室で聴取すること
- [2] 処置の優先順位を判断すること
- [3] 説明したうえで同意を得ること
- [4] 障害者と健常者を区別しないこと
Answer(解答を見る)
- [1] 病歴を個室で聴取すること
- [2] 処置の優先順位を判断すること
- [3] 説明したうえで同意を得ること
- [4] 障害者と健常者を区別しないこと
正解:3
<関連小項目(キーワード):インフォームドコンセント>
Informed consent(知らされたうえでの同意)
例4
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
看護師の業務従事者届の届出の間隔として規定されているのはどれか。
- [1] 1年ごと
- [2] 2年ごと
- [3] 3年ごと
- [4] 4年ごと
Answer(解答を見る)
- [1] 1年ごと
- [2] 2年ごと
- [3] 3年ごと
- [4] 4年ごと
正解:2
<関連小項目(キーワード):業務従事者届>
保助看法における「業務従事者届の届出義務」です。
例5
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
伴性劣性遺伝病〈X連鎖劣性遺伝病〉はどれか。
- [1] 血友病
- [2] ダウン症候群
- [3] 先天性風疹症候群
- [4] フェニルケトン尿症
Answer(解答を見る)
- [1] 血友病
- [2] ダウン症候群
- [3] 先天性風疹症候群
- [4] フェニルケトン尿症
正解:1
<関連小項目(キーワード):先天性疾患>
先天性血液凝固障害の一つで、止血しにくくなります。
例6
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
日本における平成19年の1歳から4歳までの子どもの死因で最も多いのはどれか。
- [1] 肺炎
- [2] 心疾患
- [3] 悪性新生物
- [4] 不慮の事故
Answer(解答を見る)
- [1] 肺炎
- [2] 心疾患
- [3] 悪性新生物
- [4] 不慮の事故
正解:4
<関連小項目(キーワード):死因の概要>
日本の乳幼児(5歳未満)の死因で一番なのが交通事故など「不慮の事故」です
例7
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
介護老人保健施設はどれか。
- [1] 医業を行い、20名以上の患者が入院できる施設
- [2] 医業を行い、患者が入院できるための設備がない施設
- [3] 要介護者が入所し、必要な医療や日常生活の援助を受ける施設
- [4] 認知症の要介護者が共同生活をしながら、日常生活の援助を受ける施設
Answer(解答を見る)
- [1] 医業を行い、20名以上の患者が入院できる施設
- [2] 医業を行い、患者が入院できるための設備がない施設
- [3] 要介護者が入所し、必要な医療や日常生活の援助を受ける施設
- [4] 認知症の要介護者が共同生活をしながら、日常生活の援助を受ける施設
正解:3
<関連小項目(キーワード):介護老人保健施設>
[1]は病院、[2]は無床診療所、[4]はグループホームです
例8
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
診療報酬における7対1入院基本料の条件はどれか。
- [1] 患者7人に看護職員1人
- [2] 看護職員7人に医師1人
- [3] 看護職7人に看護補助者1人
- [4] 日勤看護職員7人に夜勤看護職員1人
Answer(解答を見る)
- [1] 患者7人に看護職員1人
- [2] 看護職員7人に医師1人
- [3] 看護職7人に看護補助者1人
- [4] 日勤看護職員7人に夜勤看護職員1人
正解:1
<関連小項目(キーワード):病院>
2006年度の診療報酬改定で7対1制度が導入されました。
例9
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
膵リパーゼが分解するのはどれか。
- [1] 脂肪
- [2] 蛋白質
- [3] 炭水化物
- [4] ビタミン
Answer(解答を見る)
- [1] 脂肪
- [2] 蛋白質
- [3] 炭水化物
- [4] ビタミン
正解:1
<関連小項目(キーワード):消化器>
膵臓でつくられるリパーゼは脂肪(中性脂肪)を脂肪酸とグリセリンに分解します
例10
※4つの選択肢から1つの正解を選ぶもの(4肢択1)
脳死の判定基準に含まれるのはどれか
- [1] 徐脈
- [2] 除脳硬直
- [3] 平坦脳波
- [4] けいれん
Answer(解答を見る)
- [1] 徐脈
- [2] 除脳硬直
- [3] 平坦脳波
- [4] けいれん
正解:3
<関連小項目(キーワード):脳死>
脳死判定は[1]深昏睡 [2]自発呼吸の喪失 [3]瞳孔固定 [4]脳幹販社の喪失 [5]平坦脳波の5つで行います
必修問題は目標レベルI~IVのなかから出題されます。さらに大項目・中項目・小項目と細分化され、小項目が具体的なキーワードとなります。このキーワードへの理解が必修問題を攻略するカギとなります。夏休みを使って、学校で使っている小項目入りのテキストと過去問を照合し、どのジャンルのどのキーワードが出ているか、検証してみましょう。
脳に優しい学習法は「転移」し「加速」する
最近、高校の英語の先生とお話しする機会があり、こんな観察結果を報告してくださいました。「電子辞書が流行し始めてから、生徒の単語力が弱くなっているようだ」というのです。電子辞書を携帯していれば、意味不明の語句をピピピッとすぐに引くことができます。しかし、手軽だからこそ、人間の脳を鍛える機会を奪っているともいえます。私が学生のころは、英語でもドイツ語でも、辞書を引いたら必ず赤鉛筆でしるしをつけたものでした。そして、2度目に引くと「以前引いていたんじゃないか」と悔しい気持ちになり、ボールペンで何回も裏紙を使って書きつけたものです。おかげさまで語学では困ったことがありません。ところが、携帯電話を使い慣れてから、友人知人の電話番号を覚えていないことに気づき、その延長で「物忘れも激しくなっているのでは......」と不安になってきました。そして、脳を鍛えるチャンスとなる「地味で地道な学習の必要性」を再確認しました。
クロイワ正一
ヘルメス株式会社
ヘルメス株式会社 代表取締役。看護師国家試験対策および看護学校、看護学部への進学支援を展開するヘルメスゼミ®を主宰。マインドマップなど、知識の整理や豊かな発想を促すノート術を紹介するなど「脳に優しい学習法」を指導し、好評を得る。













