看護師国家試験対策講座2011 Vol.05「状況設定問題の攻略」 | 看護師のまど


2011/11/20更新

看護師国家試験対策講座2011 Vol.05「状況設定問題の攻略」

国試を突破する戦略的学習法⑤「状況設定問題の攻略」

状況設定問題を解くポイント(ジャンルの特定、問の分析、選択肢の分析など)

前回まで「必修問題対策」「模擬試験の活用法」などについて説明して来ましたが、今回は、状況設定問題の攻略法について解説します。状況設定問題は、具体的なケースを説明する文章を読み、3つの設問に答えるものです。いわば「3問1セット」になっているのが、状況設定問題なのです。必修問題と同じく、この状況設定問題は、国試合格のために乗り越えなければならない重要な壁となります。

配点が高い......1問が必修問題や一般問題の2倍

なぜ、状況設定問題対策が重要なのでしょうか。その第一の理由は、配点が高いからです。状況設定問題は、午前10、午後10あわせて20ケースが提示され、1ケースにつき3つの問が設けられますので、計60問に解答することになります。しかも、状況設定問題の配点は、必修問題、一般問題の2倍です。1問2点の配点で、全体(300点満点)のうち5分の2(120点分)を占めますので、合否を分けるポイントとなるのです。

問題ごとの配点の違い

説明文の誤読が大きな失点になる......マイナス2点がマイナス6点に!

状況設定問題では、1つのケースが3つの設問に関わってきますので、説明文は正しく慎重に読解しなければなりません。ケースを正確に理解できれば3つの設問の正解を導く可能性は高まります。ところが、これをミスリードしてしまうと、3設問すなわち6点分を失ってしまうかもしれません。ケース文はくれぐれも熟読熟解しましょう。

説明文の誤読が大きな失点になる......マイナス2点がマイナス6点に

実際の状況設定問題を見てみよう

では、状況設定問題を解くには、どのような力が求められるのでしょうか。それを解明するために、まず、実際に出題された第100回看護師国家試験の状況設定問題の実例を見てみましょう。


状況設定
Aさん(35歳、女性)は、夫と7歳の息子、2歳の娘と4人で暮らしている。ある日、震度6強の地震が起こり、Aさんの家は半壊した。Aさんは、倒れてきた家具の下敷きになるところだったが、何とか免れ、家族は全員かすり傷程度の怪我で済んだ。被災後、家族は避難所である小学校で生活をしている。

問1
被災して1週間が過ぎた。避難所に派遣された看護師にAさんは、「地震の当日は不安が強く、突然怖くなりドキドキしました。考えがまとまらず、夢を見ているような感覚でした。翌日からはだいぶ落ち着き、日々楽になっている感じがします」と話した。Aさんの状態でもっとも考えられるのはどれか。
①心気症
②身体化障害
③強迫性障害
④心的外傷後ストレス反応
問2
Aさんから、「また地震の日のような状態に成ってしまうことが不安です。大丈夫でしょうか」と看護師に相談があった。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
①「すぐに受診をした方がよいと思います」
②「つらい体験は早く忘れるようにしましょう」
③「誰にでもよいので積極的に自分の体験を話してください」
④「気分転換にご主人と一緒に家の片付けなどしてはいかがでしょう」
⑤「強いストレスを体験したときは誰もがなりうる正常な反応です」
問3
Aさんから、「7歳の息子がおねしょをするようになりました。落ち着きがなくなり、まとわりついてきます。2歳の娘の世話で精一杯なのに、息子に対してどう接したらよいでしょう」と看護師に相談があった。Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
① 「兄である自覚をもたせるようにしましょう」
② 「スキンシップを多くとるようにしましょう」
③ 「息子さんの状態は気にしない方がいいですよ」
④ 「なるべく一人で行動させるなど、自立を促すようにしましょう」
⑤ 「『怖かったね、でももう大丈夫』など、安心させる言葉をかけてください」
状況設定問題の攻略に必要な力①......読解・分析力

上記の問題の正解を導くために求められる力は、「読解・分析力」と「正確な知識力」の2つの力です。第一に、文章を的確に理解し、分析できる読解力が必要です。ケースについて説明する文章は、ご覧のように長めです。この長い説明文と各設問を正確に読み取る読解力、分析力が求められるのです。この問題のケースでいえば、Aさんたちが置かれている「危機一髪の経験」とか「避難所生活」といった状況を、多角的に理解・分析しなければなりません。

状況設定問題の攻略に必要な力②......正確な知識と応用力

第二に、他の問題と同じく国試の出題範囲として指定されている単元に関する正確な知識と、その知識を応用する力も必要です。「この設問は、この単元・ジャンルの問題だから、正解はこの選択肢だな」といった正確な知識に基づく洞察力が求められるのです。例えば、このケースに関しては「Aさんたちが置かれている状況は、健康障害のうち精神疾患、とくに被災など危機を経験した後に生ずる心的障害後ストレス反応(PTSD)の問題だ」とキーワードを絞り込むことができれば、すぐに問1の答えはわかります。また、PTSDの特徴と対処に関する正しい知識と照合すれば、問2の正解を導くこともできます。Aさんは、典型的なPTSDの症状を示しています。したがって、怖かった過去をフラッシュバックさせるような行動は進めない方がよいでしょう。さらに、Aさんを肯定・承認するような言動も求められます。すると、③や④の選択肢は消えます。また、意識でコントロールできる問題ではないので②のアドバイスも無意味です。重度のPTSDで、2つ選択肢をチョイスできるのなら①もありえますが、これには突き放す含みがあります。「看護師のすべきケア」でしたら、PTSDの症状が現れているAさんを認める言葉が最適でしょう。
問3に関しては、「小児看護の分野の問題だ。7歳児なので排泄機能の障害というよりは心因性の夜尿症の症状が出ている可能性が高い」などと知識に基づく洞察ができれば、正解は容易に見つかるでしょう。Aさんの「2歳の娘の世話で精一杯」という発言からも、退行現象であると推測できます。よって息子を受け入れ、承認する行動により症状が緩和されると考えられます。妥当な選択肢が2つありますよね。
(問1=④、問2=⑤、問3=②および⑤)

看護の現場では、基礎的な知識・技術に基づき、患者さまの状況にあわせた判断力が求められます。状況設定問題とは、そうした判断力を客観的に評価する設問形式でもあります。実習などで体験したことをイメージし、状況設定問題の過去問演習にチャレンジしましょう。

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クロイワ正一
ヘルメス株式会社

ヘルメス株式会社 代表取締役。看護師国家試験対策および看護学校、看護学部への進学支援を展開するヘルメスゼミ®を主宰。マインドマップなど、知識の整理や豊かな発想を促すノート術を紹介するなど「脳に優しい学習法」を指導し、好評を得る。


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