看護学生の皆さん、こんにちは。進級して約1か月、看護師への道がどんどん近付いてきて楽しみですね。しかし、第99回看護師国家試験を受験する方は、国試まで1年を切りました。最高学年になった自覚と共に、国試合格への道も意識したいものです。国家試験まで「まだあと半年もある」なんて考えていますと、あっという間に夏!いや、冬!です!実習で忙しくても、計画的に、手順よくやっていけば国家試験は合格できます。そのためのアドバイスをしていきますから、頑張って取り組みましょう!
《第98回看護師国家試験について》
1.合格率
第98回看護師国家試験の合格率は89.9%でした。看護師国家試験の合否は、第93回以降、相対基準と絶対基準を用いて決められています。その結果、合格率は90%前後で安定しており、今年も変わりませんでした。(下記表1参照)
| 一般問題・状況設定問題のボーダーライン | 合格率 | ||
|---|---|---|---|
| 得点/満点 | 得点率 | ||
| 第93回 | 162点以上/270点 | 60.0% | 91.2% |
| 第94回 | 165点以上/269点 | 61.3% | 91.4% |
| 第95回 | 176点以上/269点 | 65.1% | 88.3% |
| 第96回 | 194点以上/269点 | 72.1% | 90.6% |
| 第97回 | 180点以上/270点 | 66.7% | 90.3% |
| 第98回 | 174点以上/270点 | 64.4% | 89.9% |
合格者のボーダーラインは270点満点で174点(64.4%、一般問題・状況設定問題の相対基準)でした。なお、必修問題は絶対基準ですから80%で変わりません。
2.新出題形式
今回の国家試験から、五肢択一形式と五肢択二形式、写真などの視覚素材を取り入れた問題が導入されました。
五肢択一形式と五肢択二形式は一般問題で12問、状況設定問題で7問の出題、写真などの視覚素材を取り入れた問題は必修問題で1問、一般問題で1問出題されました。まず、五肢択一形式と五肢択二形式についてですが、問題のレベルは今までと変わらず、しかも過去に問われている問題ばかりが出題されました。 例えば、下記の問題です。
午後問題88
高齢者に脱水が起こりやすい理由はどれか。2つ選べ。
- 骨密度の低下
- 筋肉量の減少
- 渇中枢機能の低下
- 身体の活動性の低下
- 腎臓のナトリウム保持機能の亢進
(正解:2・3)
午後問題89
糖尿病でインスリン療法中の小学3年生。自分でできる療養行動の目標で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 血糖値測定
- シックデイ対策
- 食品の単位換算
- インスリン注射
- インスリン注射量の調節
(正解:1・4)
午後問題90
勤労女性に関して労働基準法で規定しているのはどれか。2つ選べ。
- 育児休業
- 介護休業
- 育児時間
- 産前産後の休業
- 出産後の健康管理に関する措置
(正解:3・4)
問題88は老年看護学の分野で高齢者の脱水に関する問題です。老年看護学では定番の問題です。問題89は小児看護学の分野で糖尿病の問題です。小児看護学で毎年出題されているわけではありませんが、"糖尿病"は他に成人看護学や疾病の成り立ちと回復の促進などで毎年出題されています。問題90は母性看護学の分野になります。その中でも労働基準法はよく出題される法律です。ここでは解説をメインに行うわけではありませんので、正答番号のみ記しますが、これらは毎年のように出題されている"超"頻出問題です。五肢択一形式と五肢択二形式はこのような「みんなが勉強しているであろう」と思われるものが目立ちました。後で述べますが、看護師国家試験は落とすための試験ではありません。五肢択一形式と五肢択二形式は導入の初年度ということもあったかもしれませんが、決して落とすために取り入れられた問題ではないのです。第99回も"超"頻出問題ばかりかは分かりませんが、少なくとも1つ1つ正確な知識があればきちんと解けるということは言えます。ですから怖がる必要はないと覚えておきましょう。
次に、写真などの視覚素材を用いた問題ですが、1題はストレッチャーでの移送方法で正しいものを選ぶ問題(下図1)、もう1題は褥瘡の深達度を判断する問題(下図2)でした。
褥瘡の深達度は実習で出会わないと勉強が漏れやすくなる部分ですが、NPUAPの基礎的な知識があれば単純に答えが選べる問題でした。ストレッチャーでの移送の問題は、非常にイメージしやすく、見やすくなった問題となりました。それは、今まで図の問題は"平面図"であって、頭の中でイメージして考えなければならなかったからです。それが写真になって、しかもフルカラーの写真でしたからなおさらです。写真などの視覚素材を用いた問題はより見やすくなったと考えれば"出題されたらラッキーな問題"になるかもしれません。
3.試験時間と問題数
その他大きく変わった点は、従来の午前(2時間45分)に必修問題30問と一般問題120問、午後(2時間30分)に一般問題30問、状況設定問題60問という組合せが、午前も午後も必修問題15問、一般問題75問、状況設定問題30問と半々に分かれたことです。(下記表2、表3参照)
これまでは午前問題の1〜30が必修問題でしたから、今年の午前問題16〜30を非常に難しく感じて混乱した学生が多かったようです。中には合格を諦めて午後の試験を受けずに会場を後にした人もいたようです。
《国家試験対策》
1.看護師国家試験のレベル
まず、国家試験対策を始める前に、看護師国家試験は決して難しいことを問われるものではないということを覚えておいてください。実際、問題を見ていくと意外と簡単に答えられる問題が多くあります。少なくとも、インターネットも使えるこのご時世で、答えを探しても1時間以上見つからない...という、ものすごく知られていないレアな知識ばかり問われることはありません。
それはなぜかと言えば、看護師国家試験は、「合格後すぐにプロ(看護師)として病院等で働けますか?そのための知識や技術を修得しましたか?」ということを確認することが最も大切だからです。"知らない""難しい"問題をたくさん出すよりも、看護師として必要最低限知っていなければならないことを確認しておかないと、看護師として働くにあたって困るわけです。 したがって、大学入試とは異なり、「現場で必要とされるもの」「出くわすことが多いこと」「看護師として最低限必要な知識や倫理、行動、対処」等を出題し、きちんとできれば専門職としての資格を授ける、そのためのテストであると認識しておきましょう。
範囲は膨大ですから"国家試験対策"は絶対に必要ですが、きちんとまとめられれば合格は難しくないのです。もちろん、第98回看護師国家試験もこのことは変わっていませんでした。
2.看護師国家試験対策の基本
看護師国家試験対策として、最もお勧めしているのが「過去問題の制覇」です。前述の新出題形式の部分で述べましたが、五肢問題も過去問題でよく出題されている頻出事項が多かったのです。ですから、過去問題を制覇することは"合格"の2文字をぐっと引き寄せることになります。
では、具体的な手順ですが、夏休みまでの間に最低限「問題→答え、問題→答え」と2回程度サーッと全問に目を通しておきましょう。書店で販売されている『過去問題集』で結構です。年度は5年分あれば十分です。
そして、目を通していく際、できるだけ頻出問題があることとそれは何であるかに気付いてください。実習の時に、「あれ?この辺りはよく出ていた?」とイメージできるくらいで大丈夫です。全体を見ることで、ぼんやりしていた"国家試験像"を具体的にイメージできるようにしておきましょう。
ちなみに皆さん実習で忙しい時期でしょうから、もう少し深い活用方法は次回にまわして、実習の活用のポイントも触れておきたいと思います。実習では最低限、以下の2点をしっかり押さえてください。
まず一つめは看護過程の展開をしっかり行うことです。特に"疾患について"しっかりまとめましょう。疾患は基本的に人体の一部のどこかが異常を来たしているために起こるものです。ですから、看護過程を展開する上で「どこがどうなっているのか」を把握しなければ道筋が見えなくなります。そして、国家試験前に多くの学生が「やっておけばスムーズにいったのに...」と後悔するのがここになるのです。"病態把握"は苦手科目になりやすい基礎医学系の知識も必要になりますから、全体の勉強にもつながり、国家試験全体の得点力を上げることになります。ここは後で差がつきますから、限られている時間を有意義に使い合理的に進めましょう。
もう1つは、基礎看護学の勉強・実習(技術)をしっかり押さえておくことです。基礎看護学は、全ての看護学の土台となるものですから、成人看護学や老年看護学など、看護学の全分野から基礎看護学絡みの問題が多数出題されています。特に、理論よりも技術の出題が多いですから、実習では1つ1つの技術チェックも行うようにしましょう。
なお、第98回では「検査」の出題が増加していました。領域としては成人看護学で学ぶケースが多いのですが、これも1つの基礎看護学系ともいえます。また、患者さんとのコミュニケーションも基礎看護学分野の1つと言えます。「コミュニケーション技法」の土台は基礎看護学で学んでいるからです。より実際的な問題は「合格後すぐに看護師として働けるか?」を問うことと同じですから、基礎看護学に通じることもしっかり押さえておいて下さい。
今回はここまでにしたいと思います。次回は夏休みの勉強を伝えたいと思います。
松本晋圭
新宿セミナー 看護師国試対策担当
看護師国試対策大手予備校の一つ、新宿セミナーの国試対策担当で中心的な人物の一人。名物講座「1日で過去問を5年分解く!」「スーパー基礎!必要最低限のことを再確認して合格点を確保する!」など多くの講座を立ち上げる。看護系学校では1年生から最高学年までそれぞれの時期にあわせた国家試験ガイダンスを行い、高評価を得ている。


















