第99回看護師国家試験は2010年2月21日(日)と正式に発表されました。試験までもう半年を切りました。ペース配分を考えながら計画的に勉強しましょう。
模擬試験の活用方法
今回は模擬試験の活用方法についてお話します。模擬試験はたくさんの活用方法があり、上手く利用すれば合格にぐっと近付きます。しかし、利用方法を誤ると合格が遠のくこともあります。大切な時間を無駄なく使うように、効果的な利用法を確認しましょう。
模擬試験の基本 その1「模擬試験の問題を100%活用できる人は少ない」
多い人(または学校)ですと9月以降、月に1回以上模擬試験を受験されると思います。その分の復習を全部行うとなると相当な時間がかるでしょう。ですから、模擬試験は多いほど大変かもしれませんね。しかし、模擬試験の問題は全問を徹底的に復習する必要はないのです。その理由は模擬試験の性質にあります。
Mini Point「模擬試験の性質」
普通、模擬試験は本試験よりも難しく作成されています。それは皆さんの学力を測ったり、比較するために使ったりするなど、様々な目的があるので当然のことなのです。しかし、逆に考えれば、模擬試験レベルの問題は本試験に出にくい難問も多いと考えられるのです。解答・解説集も同様に考えることができます。「解説が詳しくないもの」は「正解、不正解の根拠が良く理解出来ない」と感じ、模試の信頼度も下がります。解説は詳しいものが望ましいですが、その分、国家試験では求められない「本試験に必要のない解説も多い」と考えられるのです。したがって、模擬試験で出題された問題は本試験に出るかどうか、その問題のレベルや質を考えることが重要です。
では、皆さんに問題のレベルや質を見抜く力があるかと考えますと...おそらく現時点ではほとんどいないと思います。問題のレベルや質を見抜くには、少なくとも過去問題を制覇している必要があります。過去問題を制覇すれば、問題も選択肢も、解答解説集も「これは必要だな」と多少は選別できるようになるでしょう。しかし、過去問題を制覇することもまた難しいですから、模擬試験の問題を活用できる人は元々少ないのです。模擬試験の復習ばかりやって落ちてしまった...そんな学生さんも意外といます。模擬試験の性質を考えて、「やるべきこと」と「できなくてもいいこと」をズバッと割り切ってしまう方が効率的であることを頭の中に入れてください。
模擬試験の基本 その2「模擬試験は本試験の訓練として活用する」
模擬試験の問題自体が「使いにくい」のであるならば、模擬試験は不要であると考えたり、単なる参考にしかならないと勘違いしやすいのですが、そんなことはありません。ここでは模擬試験で絶対に活用するべき点を紹介します。
1.チェックを的確に行う
ケアレスミスで多いものの1つに「勘違い」があります。それは文章をきちんと読まないことが大きな原因です。たとえ単純明解な問題であっても、1つ1つの問題で問われているポイントにきちんと下線を引くことによってこのミスは防ぐことができます。また、状況設定問題などで必要な検査値やアセスメントするべき点を見落とさないためにも、下線を引いて目で確認していくことが一番的確です。
それから、正しいものには正しいと判断できる点に下線を、誤っている場合には誤っている点に下線を引くという訓練もしておきましょう。これは全ての問題に行うことを考えると、そんなに簡単にはできません。
看護師国家試験は取れる問題を1点1点確実に取ることが重要です。看護師国家試験当日はかなりの緊張状態にありますから、きちんとポイントに下線を引っ張っていくことはぜひ練習しておきたいものです。模擬試験において、読んで正解を選択してそれだけで終わってしまってはもったいないので重要なことの1つとして必ず行いましょう。
2.選択肢を確実に選ぶ
もう1つ、ケアレスミスで多い代表的なことに「誤っているものを1つ選べ」と設問されているのに、正しいものを選んでしまうというケースがあります。看護師国家試験の問題の多くは「正しい」「もっとも優先すべき」など適切なものを選ぶものです。「誤っている」「適切でない」といった正しくない選択肢を選ばせる問題は少ないです(第98回では全240問中16問)。しかし、「誤っている」と太字で表記されているのに、それまで解いている「適切なものを選んでいく流れ」を止められず、正しい選択肢を見つけた瞬間「これ!合ってる(正解だ!)」と思い込んで間違えてしまうのです。
この手のタイプで1・2問落としてしまうと、ショックを受け後悔しやすくなります。特に午前中の試験でそのミスをして、午後に引きずるともったいないことこのうえなしです。そこで、うっかりミスを防ぐために、全ての選択肢に正しい選択肢は○、誤っている選択肢は×をつけることをお勧めします。前述のような誤っているものを選ぶ問題の場合、4肢択一なら×を1つ、○は3つ付けることになります。かえって混乱しそうに感じますが、慣れていくとこれが一番の手段であると分かります。また、多くの受験生は早く解き終わり、見直しする時間が十分あります。その際1回は「誤っている」や「2つ選べ」といった太文字のみ見直して勘違いがないか確認しましょう。この2つの方法が絶対とは言いませんが、かなりの効果があります。模擬試験でも十分に時間が余ると思いますので練習してみてください。
3.気力・体力・集中力を高める訓練を行う
第98回看護師国家試験の時間割は以下のようになっていました。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 8:55 | 着席 |
| 9:05〜9:50 | 説明、問題配布等(午前) |
| 9:50〜12:30 | 試験(午前) |
| 12:30〜13:45 | 休憩 |
| 13:45〜14:20 | 説明、問題配布等(午後) |
| 14:20〜17:00 | 試験(午後) |
朝早くに試験会場に集合して、実際に試験が始まるのは9:50です。看護師国家試験は皆さん緊張しますから、午前中だけでかなりの気力・体力を消耗します。しかし試験は午後にもありますから、休み時間で集中力がきれたり、ホッと気を抜いたりしてはいけません。試験終了時間の17:00までは精一杯頑張って、それを乗り切らなければならないのです。ですから、看護師国家試験の1日はとても長く、気力・体力の勝負も関わってきます。そして、その気力・体力はいきなり本番で身につけられるものではありません。集中力も同様です。
実習でその3点を身につけたと考える人もいますが、朝から夕方までずっと席について集中力を保つこととは全く異なります。ですから、模擬試験を絶好のトレーニングの機会として使いましょう。
ちなみに模試試験で早く解き終わった際、皆さんはどう過ごしていますか?途中で退室してしまったり、席で眠ったりしていませんか?それは非常にもったいないことです。1時間余っても、1時間半余っても時間をフルに使ってください。余った時間の過ごし方はたくさんあります。何度も見直ししたり、マークミスがないか何度も確認したり、あやふやな答えを自信持って選択するように悩んだり。あるいは、答えとは関係なくても教わった内容を思い出して関連することを問題用紙に書き出してみるのもいいですね。例えば、糖尿病の問題が出たら1型、2型の違いを書き出すとか、インスリンについて知っていることを書き出すとか、過去問題でどんな問題が出ていたか書き出すとか、実習先の患者さんに看護した内容を書き出すとか...解剖生理では図を書くのもいいでしょう。
模擬試験の基本 その3「全体の位置を把握しておく絶好の機会にする」
模擬試験は全体の中の自分の位置を知ることにも役立ちます。ほとんどの模擬試験で偏差値や順位が表記されていますから、全体のどれくらいの位置にいるのか、成績表で毎回チェックしておきましょう。現状、看護師国家試験の合格率が50%台になることはまず考えられません。ですからいつでも半分以上の位置をキープできれば自信を持って本番に臨むことにつながります。模擬試験レベルと本試験レベルにはズレがありますから、成績がよいから必ず合格するというわけではありませんが、1つの目安にはなります。ですから模擬試験は国家試験対策の『健康診断』と考えて2〜3回程度は受けましょう。なお、たとえ順位が低くても諦めるようなことは絶対にしないでください。国試対策はやればやるほど、しかも前日まで得点力は上がりますから、まだまだ挽回の余地が十分残っています。
模擬試験の基本 その4「復習も効果的に行う」
せっかく解いた問題ですから、復習はもちろん行いましょう。ただし、模擬試験を効果的に使用することを考えて、次に挙げる2つのポイントにしておくことを勧めます。
1.受験当日と次の日の2日で全問を見直す。
最も重要なことは「正解した問題」が自信を持って解けたのかどうかを確認することです。その確認を少ない時間でできるように、模擬試験を受けている最中に1つ1つ○印などを付けて区分けしておくといいでしょう。自信があって、考えた通りの答えであれば全く問題ありません。むしろ自分に身についている知識として次も間違えないようにしっかり頭に残してください。確実な知識は確実なままにしましょう。
もう1つ重要なことは「正解の選択肢も考えていたのに不正解を選んでしまった」問題の復習です。これは「知識として整いつつあるけれどもまだ十分ではない」ことの現れです。非常に悔しい思いをした問題ですから、「なぜ自分が選んだ選択肢は誤りだったのか、正解はなぜその選択肢なのか」を確認して、次は間違えないようにしましょう。
したがって、「全く分からなかった問題」や「選択肢が2つまでも絞れなかった惜しいとは思えない問題」は「サーっと考える程度」の復習にしておきましょう。「模擬試験の問題を活用できる人」は少ないのですから、一通り解答解説書に目を通すくらいで大丈夫です。「とりあえず新しい、やったばかりの問題だから、記憶も新鮮なので見ておこう」と思う程度で結構です。ここでとことん答えを追求すると勉強のポイントがずれやすくなります。
2.皆ができていた問題を復習する
次に復習するのは成績表が返ってきた後です。成績表などに全受験者の正答率が1問1問載っています。その問題が必ずしも良問とは言えませんが、正答率が高いものは比較的「易しい問題」あるいは「知っておかなくてはいけない問題」である確率が高くなります。そこで「みんな正解しているのに間違えた問題」は必ず復習してください。数字としては70%以上の人が正解している問題と考えるとよいでしょう。なお、正答率が低い問題は逆に疑ってみてもいい問題です。
国家試験合格のためにはあれもこれもと手を出し過ぎず、やはり過去問題集をしっかり行うことが必要です。ですから模擬試験はこのようなポイントを押さえて上手く活用することを勧めます。やらなければいけないことはたくさんありますが、1つ1つクリアしていくように取り組んで下さい。
松本晋圭
新宿セミナー 看護師国試対策担当
看護師国試対策大手予備校の一つ、新宿セミナーの国試対策担当で中心的な人物の一人。名物講座「過去問を5年分解く!」「新傾向対策〜直前スペシャル〜」など多くの講座を立ち上げる。看護系学校では1年生から最高学年までそれぞれの時期にあわせた国家試験ガイダンスを行い、高評価を得ている。













