看護師国家試験対策講座2010 Vol.01「これから始める看護師国家試験対策」 | 看護師のまど


2010/05/20更新

看護師国家試験対策講座2010 Vol.01「これから始める看護師国家試験対策」

看護学生の皆さん、こんにちは。進級して約1か月、看護師への道がどんどん近付いてきて楽しみですね。しかし、第100回看護師国家試験を受験する方は、受験まで1年を切りました。最高学年になった自覚と共に、国試合格への道も意識したいものですね。国家試験まで「まだあと1年もある」なんて考えていますと、あっという間に夏!いや、冬!です!実習で忙しくても、計画的に、手順よくやっていけば国家試験は合格できます。そのためのアドバイスをしていきますから、頑張って取り組みましょう!

第99回看護師国家試験について

【1.合格率と合格基準】

第99回看護師国家試験の合格率は89.5%でした。看護師国家試験の合否は、第93回以降、相対基準と絶対基準を用いて決められています。その結果、合格率は90%前後で安定しており、今年も変わりませんでした。(下記表1参照)

表1
一般問題・状況設定問題のボーダーライン
  得点/満点 得点率 合格率
第93回 162点以上/270点 60.0% 91.2%
第94回 165点以上/269点 61.3% 91.4%
第95回 176点以上/269点 65.1% 88.3%
第96回 194点以上/269点 72.1% 90.6%
第97回 180点以上/270点 66.7% 90.3%
第98回 180点以上/275点 66.4% 89.9%
第99回 151点以上/250点 60.1% 89.5%

なお、絶対基準は必修問題が相当し、80%以上の得点率が必要です。

【2.変更点】

今回の国家試験から、必修問題が30題から50題に変更されています。午前・午後問題の各1〜25がこれに相当します。

第99回は必修問題のレベルとして不適切であるとされた問題が6題ありました。その6題は不正解の場合、採点から除外されるという特別な措置がとられました。全てが不正解であれば44題、3問正解していれば47題を必修問題の基準とし、その問題数の中で80%を超えていれば良いとされました。(44題であれば36題以上、47題であれば38題以上正解により80%以上)

【3.特徴】

昨年(第98回)から取り入れられた五肢択一形式と五肢択二形式の出題数が増加している点が特徴です。昨年は19題でしたが、今回は53題と倍以上に増えています。(下記表2参照)

表2
  一般五肢 設定五肢 合計
必修問題 0 0 0
疾病の成り立ちと回復の促進 4 - 4
社会保障制度と生活者の健康 2 - 2
基礎看護学 1 - 1
在宅看護論 3 3 6
成人看護学 5 3 8
老年看護学 4 2 6
小児看護学 2 2 4
母性看護学 5 3 8
精神看護学 5 2 7
合計 38 15 53

国家試験の出題者側からすれば、五肢問題は「国家試験の出題レベルを変えずに正確な知識を持っているかしっかり判断できる」というメリットがあります。したがって、第100回以降も増加していく可能性があります。ただし、この後述べますが看護師国家試験は落とすための試験ではありません。五肢択一形式と五肢択二形式は決して落とすために取り入れられているわけでなく、1つ1つ正確な知識や判断力があればきちんと解けるものです。ですから怖がる必要はないと覚えておきましょう。

なお、写真などの視覚素材を用いた問題は3題でした。昨年は2題ですから、1題増えただけです。図・表やイラストの方が問題に対するイメージをしやすいというメリットがありますから、今後も急増するとは考えにくいものです。

国家試験対策

【1.看護師国家試験のレベル】

まず、国家試験対策を始める前に、看護師国家試験は決して難しいことを問われるものではないということを覚えておいてください。

実際、問題を見ていくと意外と簡単に答えられる問題が多くあります。少なくとも、インターネットも使えるこのご時世で、答えを探しても1時間以上見つからない...という、ものすごく知られていないレアな知識ばかり問われることはありません。

それはなぜかと言えば、看護師国家試験は、「合格後すぐにプロ(看護師)として病院等で働けますか?そのための知識や技術を修得しましたか?」ということを確認することが最も大切だからです。"知らない""難しい"知識をたくさん出すよりも、看護師として必要最低限知っていなければならないことを確認しておかないと、看護師として働くにあたって困るわけです。

したがって、大学入試とは異なり、"国家試験"として「現場で必要とされるもの」「遭遇する機会が多いこと」「看護師として最低限必要な知識や倫理、行動、対処」等を出題し、きちんとできれば専門職としての資格を授ける、そのためのテストであると認識しておきましょう。

範囲は膨大ですから"国家試験対策"は絶対に必要ですが、きちんとまとめられれば合格は難しくないのです。

もちろん、第99回看護師国家試験もこのことは変わっていませんでした。

【2.看護師国家試験対策の基本】

[1]過去問題の制覇

看護師国家試験対策として、最もお勧めしているのが「過去問題の制覇」です。

例年"過去問題の制覇"によって、少なくても7割くらいは得点できます。ですから、過去問題を制覇することは"合格"の2文字をぐっと引き寄せることになるのです。第99回もそのような結果でした。

しかし、毎年「過去問題だけでは全くダメだった」と感じる人も多いようです。感想が大きく分かれてしまう理由は「過去問題をどのように活用していたか」にあります。さすがに国家試験ですから"全く同じ問題"や"全く同じ選択肢"ばかりが出てくるわけではありません。ですから、活用しきれていない場合は表面的な過去問題の確認だけに終わってしまい「過去問題だけではダメだった」と感じてしまうのです。逆に、過去問題で問われている"テーマ"をしっかり押さえていれば「過去問題の勉強でしっかり合格できた」と感じられるはずです。

そのため、過去問題はうまく活用しなければなりません。

では、具体的な活用方法の手順について触れていきましょう。

まず、書店で販売されている『過去問題集』を1冊購入しましょう。それを解説は読まずに「問題→答え、問題→答え」とサーッと全問に目を通していきましょう。年度は5年分あれば十分です。これを行うことで国家試験の全体像をなんとなくイメージできるようになります。

次に、分野ごとによく出てくる"言葉"や"用語"、"テーマ"をチェックしましょう(ここで言う"テーマ"とは、「老年看護学」で出ている「高齢者の脱水」など、問題のテーマです)。多少めんどうくさいのですが、参考書やポイント集に「第○○回AM△番」とメモをすると後で役に立ちます(省略して"◯◯-AM△"で構いません。)。夏休み前は「実習の時に、あれ?この辺りはよく出ていた?とイメージできるくらい」でも構わないのですが、最終的には"頻出のテーマ"を把握していなければなりません。同じような作業をする時間はもったいないですから早い時機にテーマを把握しておくことを勧めます。

このようにして、夏休みまでの間は「国家試験の全体像を把握すること」「分野別の頻出問題を知ること」を中心に進めましょう。細かく勉強をしていく"土台"を作り上げておけば、夏の勉強がはかどるようになります。

解説を読んで詳しく調べていく必要はありませんから、頑張れば1〜2週間程度でできます。

[2]実習を精一杯頑張る

実習はこれまで学んできた内容を実際の場面で学習・経験していくものです。そのためには学んできた内容がきちんと結びついていくための「知識の統合」が必要です。記録などもあり、大変な毎日ですが、国家試験に直接結びつくこともたくさんありますからしっかり行いましょう。

その中でも、以下の2点については大変重要であると考えてください。

1つめは看護過程の展開をしっかり行うことです。特に"疾患について"しっかりまとめましょう。疾患は基本的に人体の一部のどこかが異常を来たしているために起こるものです。ですから、看護過程を展開する上で「どこがどうなっているのか」を把握しなければ道筋が見えなくなります。いわゆる"病態把握"です。"病態把握"は苦手科目になりやすい基礎医学系の知識も必要になりますから、全体の勉強にもつながり、国家試験全体の得点力を上げることになります。ここは国家試験前に多くの学生が「やっておけばスムーズにいったのに...」と後悔するポイントですから、限られている時間を有意義に使い合理的に進めましょう。

2つめは、基礎看護学の勉強・実習(技術)をしっかり押さえておくことです。

基礎看護学は、全ての看護学の土台となるものですから、成人看護学や老年看護学など、看護学の全分野から基礎看護学絡みの問題が多数出題されています。特に、理論よりも技術の出題が多いですから、実習では1つ1つの技術チェックも行うようにしましょう。

また、「コミュニケーション技法」は基礎看護学で学ぶ部分ですから「患者さんとのコミュニケーション」も大切にしましょう。「第99回の老年看護学ではこんな問題が出ました。

62 脳幹出血で四肢麻痺となった78歳の女性が退院し帰宅することとなった。長男の妻が「私が仕事をやめて介護すると家族に決められました」と沈んだ様子で看護師に話した。 最初の言葉かけとして適切なのはどれか。

  • 1.「あなた自身はどのようにお考えですか」
  • 2.「ご心配と思いますが、なんとかなりますよ」
  • 3.「在宅介護の方法はどのくらいご存知ですか」
  • 4.「介護サービス事業所の電話番号を教えましょうか」

この問題は「介護者の負担とその心理に対する看護」と言えるもので、老年看護学・在宅看護論で毎年のように出題されるテーマです。

では、なぜ「実習のコミュニケーションが大切なのか?」。問題を通して考えてみましょう。

まず、この状況で何が大切かと言えば、『「私が仕事をやめて介護すると家族に決められました」と沈んだ様子で看護師に話した。』という部分ですね。「決められた」「沈んだ様子」ということからも単純に納得しているとは思えません。ですから、この「本人は納得していないかもしれない、満足な決定とは捉えていないかもしれない」という状況を言葉、すなわちコミュニケーションで読み取らなければなりません。この「相手の状況を把握する」というコミュニケーション能力、また、「この後どのように言葉を交わすか」というコミュニケーション能力、それぞれが実習でも身についてくることなのです。

言い方を変えれば「コミュニケーション能力」も国家試験で問われ、実習でもそれを学んでいるということです。

なお、このような問題の場合、「老年看護学の範囲」と捕らえるよりも「基礎看護学の延長上にあるコミュニケーションの問題」と捉えた方が的確な正解を導き出せるというポイントもあります。

ちなみに解説はもう不要ですよね?重複しますが以下に記しておきます。

62 脳幹出血で四肢麻痺となった78歳の女性が退院し帰宅することとなった。長男の妻が「私が仕事をやめて介護すると家族に決められました」と沈んだ様子で看護師に話した。 最初の言葉かけとして適切なのはどれか。

  • 1.「あなた自身はどのようにお考えですか」
  • 2.「ご心配と思いますが、なんとかなりますよ」
  • 3.「在宅介護の方法はどのくらいご存知ですか」
  • 4.「介護サービス事業所の電話番号を教えましょうか」

解説:『「私が仕事をやめて介護すると家族に決められました」と沈んだ様子で看護師に話した。』ということから「本人は納得していないかもしれない、満足な決定とは捉えていないかもしれない」と考えられますよね。介護の場では、介護される側だけでなく介護する側(介護者)も十分に納得していなければ信頼関係が成り立ちません。また、介護者の中途半端な理解・協力では心身の疲労に繋がり、いずれ虐待や放置・拒否といったネグレクトに発展する可能性も高くなります。よって、このケースでは「本人の気持ちや思いを十分に聞いて問題点があればそれを解決する方向に持っていく」ことがベスト。これに合う選択肢は1(正解)のみです。

ちなみに2は長男の妻の言動に対して「何とかなる」と放棄するような対応になってしまうので×です。3は介護者になることを前提に話しており、長男の妻の訴えを無視してしまっているので×、4はこの後のことを介護サービス事業所に放り投げるような対応なので×です。

皆さん忙しい時期でしょうから、今回はここまでにしたいと思います。次回は夏休みの勉強として、もう少し深く話していきます。

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松本晋圭
新宿セミナー 看護師国試対策担当

看護師国試対策大手予備校の一つ、新宿セミナーの国試対策担当で中心的な人物の一人。名物講座「過去問を5年分解く!」「新傾向対策〜直前スペシャル〜」など多くの講座を立ち上げる。看護系学校では1年生から最高学年までそれぞれの時期にあわせた国家試験ガイダンスを行っている他、最高学年向けの出張講義なども行い、高い評価を得ている。


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