いよいよ夏休みに入りますね。学校の課題や実習の予習・復習、就職活動などで国家試験対策まで手が回らないという人もいるでしょう。しかし、多くの先輩達は「夏休みに少しでも国家試験対策をしておけばよかった...」と思うものです。後悔先に立たず...来春卒業される方にとっては最後の長期休みになりますから、遊ぶのはいっこうに構いません。しかし、最低限の国家試験対策は夏休みに学習の計画を立てて行う必要があります。「オン・オフ」をしっかり切り替えて時間を"上手に"使いましょう。
夏休みにやっておくこと
前回述べたように、看護師国家試験で重要なことは過去問題を制覇することです。
過去問題集を活用することはもちろんですが、真面目な皆さんは問題集等、順番通りに取り組んでしまいます。それよりももっと効率的に行える方法もあります。
せっかくの夏休みですから、合理的に行って遊ぶ時間も作りましょう。
1.過去問題を活用する
A.過去問題の使い方
前回述べたように、看護師国家試験の受験後「過去問題だけでは足りなかった」と感じる人が多くいます。しかし、問題を分析すると「過去問題をしっかりやっていれば十分合格できる」ものです。
では、なぜそのように意見が分かれるのか?
それは過去問題の使い方にあります。
プール制が導入されているとはいえ、さすがに"国家試験"ですから「過去問題と全く同じ出題ばかり」とはいきません。過去問題は"出題のポイントやテーマがたくさんある"ものです。
例えば、毎年「褥瘡」に関する問題が出ます。看護師になるにあたって「褥瘡について知らない、予防できないし対応もできない」では困りますから、「国家試験でしっかり確認しておくべきこと」として出題されるわけです。つまり「褥瘡」という"テーマ"が頻出であり、それを「確実な得点源」にしていくのです。
第1回で述べたように看護師国家試験は決して"落とすための試験"ではありません。
ですから皆さんに"試験として確認しておきたいことの基本"は「褥瘡」のようにたくさん過去問題に集約されているのです。
この夏は過去問題集を制覇するために少しでも多くの出題のポイントやテーマを見つけ出しましょう。
B.勉強する順番を考える〜その1〜
『過去問題集』は約1000ページとものすごく分厚いものが多いです。1ページ1ページ順番にやっていくと、進んでも進んでも「終わらない」という印象を持ちやすく、途中で飽きてしまう人が多くいます。
ですから、できる所や出題数の多いものなど、順番を崩して取り組むことを勧めます。
まず初めに取り組むことを勧めたいのが基礎看護学です。
国家試験の出題では看護技術に関連するものが圧倒的に多い傾向にあります。他の看護の6科目(老年看護学、在宅看護論、成人看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学)の中でも「基礎看護学または基礎看護学がらみ」の問題が多数出題されています。
それらを含めると、実は看護師国家試験の出題では基礎看護学系の出題がもっとも多いとカウントできるのです。基礎看護学はほとんどの学習が終わっているはずですし、そもそも看護の全ての基本になるものですから、この夏に一気に仕上げてしまうことをお勧めします。
C.出題基準を活用する
次は"出題基準"を上手く活用することをお勧めします。
看護師国家試験では"出題基準"があり、問題はその"出題基準"から出されているわけですからしっかり見ておくことが必要です。また、頻出問題は"出題基準"から見抜くことも可能ですし、"出題順"まで把握することが可能です。
例えば、老年看護学では、始めに①データ関係や老年期の理解が出題されており、その後に②成長発達・発達課題、③身体的変化...と出題されています。それを出題基準のどこから出題されているのか1つ1つ振り分けてみましょう。
①〜③は『目標1:高齢者の特徴とその生活についての理解を問う』の大項目に沿っています。①は『老年期の理解』、②は『老年期を生きる人々の特徴』、③は『老年期を生きる人々の健康』です。国家試験はさらにここから中項目、小項目と分かれて問題が作成されているのです。
このようにして、出題の流れや頻出問題と過去問題から把握して、その後に、老年看護学の他の出題のポイントや覚えることをどんどん頭に入れていくのです。
D. 勉強する順番を考える〜その2〜
a.得意科目と不得意科目、暗記モノを選別する
過去問題に取り組むにあたって、「得意・不得意」を洗い出しておくことと暗記モノをリストアップしておくことも併せて行いましょう。そして、不得意分野と暗記モノはちょっと後回しにすることをお勧めします。
これらを徹底的にやらないとマズイのでは?と聞こえてきそうですが、極論をいえば、国家試験で満点はいらないのです。ですから、いずれは捨てる問題を作ってもいいのです。
また、不得意なものは、いくらやっても頭に入りにくいと思いませんか?夏の土台作りの場合、取れる所を確実に取れるようにしてしまう方がいいのです。不得意な所はこの後、または切羽詰まってきてから危機感を持ってやった方が頭に残ります。まあ多過ぎては困りますが(笑)
延ばし延ばしにもできませんが、一応"夏は全体の得点力をアップさせるには何が効率的か"を考えて勉強しましょう。
なお、その視点からすると皆さんの多くが不得意とする「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」の基礎医学系ですが...、この夏は必修問題対策と成人看護学の勉強で済ませておいても構いません。
必修問題では、項目Ⅲ『看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復についての基礎的知識を問う』という項目があります。必修問題対策としても有効になりますし、基本的な知識の整理になります。
また、成人看護学の学習では、主に疾患について理解していくことが中心になり、"病態把握"で「解剖生理」と「病理学」の知識が必要です。「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」ではその2つと「薬理学」が出題の中心になりますから、ここで国家試験対策の基本が出来上がります。
基礎医学系は何でも手を出していくと深い溝にはまって、抜けだせなくなり、他の科目の勉強に影響が出てしまいますから、この夏は息抜きに"遊ぶ時間も確保する"ことも考えて、"基本"を押さえることを中心にやっておくだけでも結構です。
b.得意科目がない場合~老年看護学、在宅看護論を早くに勉強する~
「得意科目」「できそうなもの」が上手く選べないという人は「老年看護学」と「在宅看護論」を先に学習しましょう。
この2つの分野は、「基礎看護学」と重なるポイントが多くありますし、頻出問題が見つけやすいというメリットがあります。得点源の分野になり、勉強すればすぐに点数を取れるようになります。
ですから、ここは夏にビシっとやって、2学期には模擬試験で安定して点数を取れるようにしておくと、気持ちが楽になります。
2.必修問題対策
第99回から出題基準が改定され、項目数が212項目から300項目に増えました。問題数も50問になりました。確実に得点しなければならない問題ですから、早めの対策を取るようにしましょう。
ただし、こちらも効率の良い手順を考えることをお勧めします。
A.必修問題も勉強する順番を考える〜その1〜
必修問題対策も順番通りに進める必要はありません。むしろ勉強の順番を組み換えることをお勧めします。
始めは前述の目標Ⅳ『看護技術の基礎的知識を問う』から始めましょう。
ここは「基礎看護学」に該当する部分で、必修問題においても出題数はかなり多い部分です。
人によって数え方は異なりますが、私の区分けでは「基礎看護学」がしっかりできていれば取れる問題は、第99回は50問中22題ありました。
B.必修問題の範囲
必修問題は80%以上得点しなければならない「特別な問題」ですが、必修問題にしかない「特別な範囲」はありません。
必修問題は「全範囲から一部選ばれた」ものが範囲となっています。
ですから、極端な話、「全範囲の学習がしっかりできていれば必修問題への対策をしなくても点数は取れるようになっている」のです。
このことは逆に考えると「必修問題は他の分野とすべてが重なっている」わけであり、「別々に勉強すると効率が悪い」といえます。
C.必修問題も勉強する順番を考える〜その2〜
先に述べた目標IV『看護技術の基本を問う』は「基礎看護学」に該当するわけですから、一般問題の対策と併せて行うことが効果的です。特に、ここの目標IV『看護技術の基本を問う』は必修問題の中でも若干レベルが高くなってきている傾向がありますのでなおさら並行して学習する方が合理的です。
この次に学習するのは目標III『看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復についての基礎的知識を問う』にしましょう。「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」ですから、皆さんが苦手にしやすい分野です。「苦手分野は後回し...」と前述していますが、さすがに「必修問題」ですし、例年出題数の1/3を占める重要な範囲ですから後回しにはできません。
ただし、一般問題と併せて行うかを工夫しましょう。この範囲が得意な人は同時に進行した方が効率よく進みます。苦手であるという人は一般問題の基礎医学系は後回しにして、ここの「必修問題レベル」を夏は優先して学習しましょう。まずは基礎を押さえることに専念しましょう。
目標II『看護の対象者および看護活動の場に関する基礎的知識を問う』および目標I『看護の社会的側面および倫理的側面に関する基礎的知識を問う』はどちらを優先させても構いません。
目標II『看護の対象者および看護活動の場に関する基礎的知識を問う』は成長発達が多く、他の看護学の勉強ができているとスムーズに進みます。ですから、"ある程度"過去問題集が進んでいると取り組みやすくなります。
目標I『看護の社会的側面および倫理的側面に関する基礎的知識を問う』は統計や社会保障・医療保険制度、保健師助産師看護師法など、暗記モノが多くなります。
これらのことを知っていればどちらから行っても結構ですし、一般問題と並行して行うかもそれぞれ自由にやって大丈夫です。
D.出題基準と照らし合わせる
必修問題対策の効果的な方法です。必修問題は全て出題基準通りに作成されますから、「出題基準を活用できる」ようになることが望ましいです。
この夏は過去の問題が出題基準のどこから出題されたのか、その項目に当てはめておきましょう。
そうすると「頻出項目」が見えたり、「他の項目から出題されそうなこと」がなんとなくイメージできるようになります。
出題基準は変更されていますが、必修問題に関しては「単純に項目が増えた」と言っても過言ではありません。ですからほとんどの過去問題は新しい出題基準でも当てはまる項目があります。
以上が夏の勉強についてです。
一見かなりボリュームがあるように感じますが、進めてみると意外と短時間でできます。
これらを行っておくと得点力がつくばかりでなく、秋以降の勉強の進め方が把握しやすくなるメリットもあります。
ですから「夏休みの半分くらいは勉強」というイメージで頑張ってみてください。
松本晋圭
新宿セミナー 看護師国試対策担当
看護師国試対策大手予備校の一つ、新宿セミナーの国試対策担当で中心的な人物の一人。名物講座「過去問を5年分解く!」「新傾向対策〜直前スペシャル〜」など多くの講座を立ち上げる。看護系学校では1年生から最高学年までそれぞれの時期にあわせた国家試験ガイダンスを行っている他、最高学年向けの出張講義なども行い、高い評価を得ている。



















