患者さんに説明する自分を想像して勉強を進めよう
● 他から課される勉強というのではなく、自分のための勉強を楽しみましょう
よい看護を目指し、自らの知識を豊かにしていくことを楽しみましょう。
分からなければ、その場で解決を - 苦手なところをつくらない
最終学年も、もう半ばとなりました。臨地実習に明け暮れ、息もできないほど慌ただしいのではないでしょうか。そのような中にあっても、国家試験の勉強を少しずつでも進めていきたいですね。
ここで、看護師国家試験はどのような試験であるかを、今一度、振り返ってみましょう。形から見ると、一割の人が不合格となる試験です。このことから分かることは、必要な学習事項がほとんど分かっていれば、不合格とはならないということです。ですが、学習事項の中には難しいものがあって、しかも、その難しいところは、多くの受験生が苦手としています。こうなると、苦手なところを克服することが国試の勉強ということになりそうです。
受験生の中には、通常の学校の勉強だけで、まったく国試の勉強をせずに合格する人がたくさんいます。九割の人が合格するわけですから、そのような人がたくさんいても不思議ではありません。このような人たちは、たんに頭がよいのでしょうか。中には、そういう人もいるでしょうが、意気込みがある人や、明確な目標を持っている人は、合格しやすいようです。このような人たちに共通する特徴は、国試に出そうな事項で分からないことがあれば、その場で、分かるまで、とことん追究して、苦手なところをつくらない、というところにあるように見受けられます。
受験勉強ということからの脱却
苦手なところがずっと克服できないままの人は、時間が足りないということもありますが、どこか前向きな気持ちが持てないでいるのではないでしょうか。合格するためだけの勉強をいやいやしているのであれば、それは無味乾燥なものでしょう。
第103回の看護師国家試験から、改定出題基準に準拠して出題されるようになりました。第103回以降、これまでの看護師国家試験と異なり、基礎を問う出題となるように強く意識して問題が作成されていることが感じとられます。出題の仕方自体がポイントをおさえているために、ポイントをおさえて勉強している受験生にとっては、正解の見当がつきやすいようです。
看護国試の過去問を勉強しておくことは、とても大事なことですが、第104回では、いわゆるプール問題は多くありませんでした。基礎的な問題が多くなっていますが、これまでと異なり、想起型の問題は少なくなって、その分、思考型の問題に置き換わってきていると言ってよいでしょう。看護国試のある時期から、「~でないものはどれか」という出題形式が避けられてきていますが、第104回では、ある概念と対をなす概念による出題形式が多くみられます。過去問の勉強ばかりに頼っていると、このような問題が難しく感じられてしまいます。ふだんから、暗記をするだけでなく、概念の理解をするようにしましょう。これらに関連する出題例をみておきます。なお、看護師のまどの国家試験合格対策ドリル第1回でも、関連する傾向分析を行っていますので、そちらもご覧ください。
第104回午前54
流動性知能はどれか。
1.新聞を読む。
2.町内会の役員を務める。
3.結婚式のマナーを知っている。
4.携帯電話に電話番号を登録する。
【正解】 4
高齢者の特性として、よく結晶性知能があげられますが、ここでは、だんだん低下していく流動性知能の方が問われていて、解答に際して、とまどう受験生がいるかもしれません。
第104回午前16(必修)
副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。
1.ジゴキシン
2.インスリン
3.フェニトイン
4.ワルファリン
【正解】 2
インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンですが、血糖値を低下させる糖尿病の薬であることだけにしか意識が向いていないと、副作用として低血糖症状があることが意識から抜け落ちてしまうかもしれません。