危機を脱した後も気を抜かず異変に備える ≪心不全チーム≫
循環器系の疾患を扱うハートセンターはCCUをはじめ約80床を備え、救命救急センターから転棟してくる重症患者さんの治療から社会復帰へ向けたリハビリまでを担っています。また専門医を中心に2009年に「心不全チーム」を立ち上げ、さまざまな活動を行っています。
多職種がタッグを組んで心不全に対応
ハートセンター北病棟
慢性心不全認定看護師
倉田浩さん
心不全チームはハートセンターの循環器内科や心臓血管外科の医師を中心に、看護師、薬剤師、栄養管理士といった多職種により構成されています。主な活動としては「心不全カンファレンス」を毎週開催し、ハートセンターに入院中の患者さんや外来患者さんの症例検討を行っています。看護師である僕は患者さんを近くで見て、ご本人の希望や生活状況を把握できる立場にあります。それを他のスタッフに共有し、患者さんに適した治療方針や生活指導法を話し合っています。
そのほか、他病棟の心不全を抱える患者さんについて多職種で意見交換する週1回の「心不全ラウンド」や、患者さんやご家族に心不全に対する理解を深めてもらう「心不全教室」も行っています。特に患者さんが高齢の場合、退院後の生活にご家族の協力が重要。心不全ラウンドで把握した退院間近な患者さんやご家族に心不全教室への参加を呼びかけ、再入院を防ぐための知識や日常生活行動を分かりやすく伝えています。
認定看護師として慢性疾患に悩む患者さんを支援
心不全は手術や治療により病態が安定しても慢性的に付き合わねばならず、入退院を繰り返す方もいます。そうした患者さんの人生に密接した慢性疾患に向き合い、できる限りサポートしたくて僕は慢性心不全認定看護師になりました。そして認定看護師の知識を活かし、心不全チームの活動に加え「心臓病看護相談」も担当しています。疾患を抱えた身体や生活面の相談に応じるほか、検査データから患者さんの状態を読み取って「塩分や水分の取りすぎが気になりますね」などと指導をする場です。僕だけで判断できない相談や問題点については、医師につないだりカンファレンスで話し合ったりしています。
心不全チームの活動も8年ほど経ち軌道にのってはいますが、有志によるチームメンバーだけでは患者さん対応にも限りがあります。ですから今後はこの活動を病棟スタッフにもっと広めて、より多くの仲間で患者さんをサポートできたらと考えています。